『狼がたまごを温めたら』 -概要-

狼がたまごを温めたら

3つのたまごを授かった、アヒルと狼の夫婦。
実践的になりたい狼は、妻(アヒル)の代わりに自分がたまごを温めると言い出す。
生まれてくるまでの「待つこと」をテーマにしたストーリー。

『君はだぁれ?』の続編ですが、新展開ですので本作品のみでも楽しめます。)

【帯コメント】
わたしたちはみな希望という名のたまごを温めている
大切なのは、未来を想像し温め続けること
今を信じて待ち続けること
(作家・寒竹泉美)

【装丁】
シャルロット井上

【作品解説】
 この物語のテーマは「待つこと」である。

 著者が提案しているのは、「待つこと」がもはやできない現代人に対して、「待つことはそう難しいことじゃないし、そう悪いことでもない」ということである。「待つこと」、それはすなわち、つまり一瞬だけでもいいから立ち止まってみようとすること、そして一瞬だけでもいいから周囲をじっと静かに見渡してみること、一瞬だけでもいいから自分の心に問いかけ対話してみることである。そのような目に見えないくらい本当に小さな個人的な変化が、信じられないかもしれないけれど、実際に世界を動かす大きな変化への一歩になるのだということを、この愛らしい登場人物たちが繰り広げるおとぎ話風の物語の変遷は語っている。

 その可能性を信じるも、信じないも個人の自由。でも私たちはそろそろ、その小さな個人の変化が潜在的に持っている大きな世界への影響力を信じなければならない時代に来ているのかもしれない。と、そんなことをあれこれ思索したりするのも、本書でいう「待つこと」の一部なのだろう。

「訳者あとがき」より


【著者プロフィール】
パオラ・マストローコラ(Paola Mastrocola)
1956年イタリア・トリノ生まれ。リチェオ・シェンティーフィコ(理科高等学校)にて文学を教える。
著書に“La gallina volante”(イタロ・カルヴィーノ賞〔1999〕)、カンピエッロ賞〔2000〕、ラパッロ・カリージェ女流作家賞〔2001〕を受賞)、“Palline di pane”(ストレーガ賞最終候補作品〔2001〕)、“Una barca nel bosco”(カンピエッロ賞〔2004〕、アラッシオ・チェントリーブリ賞〔2004〕受賞)、エッセイ“La scuola raccontata al miocane"などがある。
現在、日本では『君はだぁれ?』(シーライトパブリッシング)が発行されている。
本作『狼がたまごを温めたら』のイラスト(挿絵を含む)は、著者による。

※ 著者名の発音は、"パオラ・マストロコーラ"の方が実際の発音に近い。

【訳者プロフィール】
川西 麻理(かわにし まり)
1979年生まれ。東京音楽大学卒業後、渡伊。研鑽を積む。ミラノ在住。
第13回いたばし国際絵本翻訳大賞特別賞受賞。
訳書に、M.カッロッツォ、C.チマガッリ『西洋音楽の歴史 第1~3巻』、本書の著者であるP.マストローコラ『君はだぁれ?』(シーライトパブリッシング)がある。

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