04.イタリアの夏とPOPS / 
~ ”きいてみ~よ!” イタリアPOPSのススメ ~ 第4回
《Piccola RADIO-ITALIA(ピッコラ・ラディオ=イタリア)》

 このコラム記事がリリースされる頃は、日本の子供たちは夏休みに突入した頃でしょう。 一方、日本の大人たちと言えば、お盆の頃に数日~1週間程度という風潮がありますが、イタリアでは、 いや、欧米での夏休みは通常、大人でもまるまる1ヶ月ぐらい休んでしまうのが普通です。

 イタリアの都市ではオフィスはもちろん、多くの商店も休業となり、街から住人が消え、 まるでゴーストタウンのようになってしまうことがあります。

 諸事情で都市部に残ることになった者には、まるで世間から見捨てられたような気持に苛まれる・・・ という状態を歌った名曲"Azzurro(アッズッロ/青空)"(1968)があります。 1968年にスーパースターAdriano Celentano(アドリアーノ・チェレンターノ/当時30歳/現73歳)によって歌われて大ヒットしました。



 待ち焦がれていた夏がある日突然やって来て、彼女は海に行ってしまったのに、独りぼっちで街に取り残された男の焦燥感を歌っています。 面白いのは、いつもなら告白を聴いてくれるはずの神父さまさえ街には居なくなっている、っていう歌詞も。

 この楽曲"Azzurro"は、イタリア人の夏に対する季節感をズバリと歌い当てたことと、 スポーツ界でイタリアのナショナルチームのイメージカラー"Azzurro"とイメージが重なることもあって、 すっかりイタリア国民に受け入れられ、現在もなお、幼稚園でも愛唱されることもあり、 老若男女誰でも歌える国民的な歌として、広くイタリア人に愛されています。

 余談ですが、イタリアでは国歌を全員で斉唱する風習が無いため、皆で歌える国威高揚の歌といえば、 むしろこの"Azzurro"の方がその役割を果たすのに適しているようです。

 サッカーワールドカップ2006年で見事優勝を遂げたイタリアナショナルチーム、通称Azzurri(アッズーリ)の面々が、当時この"Azzurro"を歌うという記念すべきテイクがこちら。



 Adriano Celentanoは、その後も歌に映画にその才能を発揮し、常にイタリアのトップスターであり続け、 今ではすっかり芸能界の首領(ドン)となり、2005年には国営放送RAIでRockPolitik(ロック・ポリティック)という ロックアーティストの立場で政治を語るという求心力の高いTV番組を手掛け、 一流の文化人としてもリスペクトされている存在であることを知らしめてくれました。 以下は、そのRockPolitik出演時(当時67歳)に"Azzurro"を歌ったシーンです。



 この名曲"Azzurro"を書いたのは、弁護士の顔を持つカンタウトーレ(シンガーソングライター)Paolo Conte(パオロ・コンテ/当時31歳/現74歳)。 この曲を書いた1968年当時はまだ、職業作家として他者に楽曲を提供する修行時代だったので、 この曲の大成功で一躍注目を集めることになりました。彼は自身のライヴでごく稀にセルフカヴァーをする事があります。



 さて、イタリアではこのように1ヶ月にも渡って夏のヴァカンスを取る風習があるため、都市部から住民が居なくなる反面、 避暑地や海水浴場などでは、イタリア人だけでなく、ヨーロッパ各国からの来訪客でごった返す場所も少なくないようです。

 日本の帰省シーズンに郷土の夏祭りが多く催されるように、イタリアでも夏のイベントが盛んですので、 この時期は多くのイタリアのミュージシャンに取って絶好の『地方営業シーズン』にもなります。

 かつては、この夏のヴァカンスシーズン限定の音楽コンテストが多々設けられていたこともありました。
・Festivalbar(フェスティヴァルバール/1964年から2007年まで開催)
・Un disco per l'estate(夏のディスク/1963年から2003年まで開催)
・Cantagiro(カンタジーロ/1962年から何度か中断しながら断続的に継続。直近は2005年開催)
※Festivalbarについては、当コラムの『03.Wind Music Awards(ウインド・ミュージック・アワード)』をご参照ください。

 大型コンテストが開催されなくなった現在でも、この時期にライヴスケジュールをびっしりと入れておかないと、 来シーズンのセールスに響く!と不安になるアーティストも少なくないようです。 しかしながら、真夏の野外ライヴは厳しいものですので、年齢を重ねるごとに段々辛くなってしまうのが問題点ですね。 前出のCantagiroは、実際にイタリア全土を巡るツアー式コンテストだったこともあり、 各地の観客は熱狂を持って迎えたものの、出演者にとっては地獄そのものだったとか。

 筆者は、頻繁にイタリアからCDやDVDを取り寄せているのですが、7月下旬から8月下旬までの夏のヴァカンスの間は、 CD工場も生産ラインを止めてしまうので、新曲も新発売も一切ありません。 通販に傾倒したショップの中には、営業そのものを中止してしまうショップも珍しくありません。

 以上が日本とは全く異なる『イタリアの夏とPOPS』の事情です。

Piccola RADIO-ITALIA
YoshioAntonio こと 磐佐良雄

***** 今回ご紹介した曲の収録アルバム *****
『Il Concerto di Adriano Celentano』
アルバム:Il Concerto di Adriano Celentano
アーティスト: Adriano Celentano

『Concerti』
アルバム:Concerti
アーティスト: Paolo Conte

***** 『第75回 イタリアPOPSフェスタ』開催のお知らせ(予定の内容) *****
1. 夏を歌った楽曲特集
2. イタリアで最近リリースされた話題作から
3. 白熱のライブ映像

日時:2011年8月6日(土) 17:15~21:30 (16:45開場)
会場:東京・JR亀戸駅 徒歩2分
定員:先着20名様
参加費:無料
※お申込み&詳細は以下のサイトまで。
『ピッコラ・ラディオ=イタリア』
http://piccola-radio-italia.com/

参加者層は大学生から60歳過ぎの方まで、イタリアPOPS初心者からヘビーリスナーまで、幅広い方々が集まります。初心者やお一人様でのご参加、大歓迎です!


”きいてみ~よ!” 
~ イタリアPOPSのススメ ~ 第4回
2011-07-22

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