「イタリア国内でラジオを点ければ聴こえてくるが如く日本でもイタリアPOPSを普通に聴けるようにしたい」との想いを込めてイタリアのPOPSを紹介するコーナーです 08.音楽職人たち / ~ ”きいてみ~よ!” イタリアPOPSのススメ 2012 ~ 第8回


08.音楽職人たち / 
~ ”きいてみ~よ!” イタリアPOPSのススメ 2012 ~ 第8回
《Piccola RADIO-ITALIA(ピッコラ・ラディオ=イタリア)》

イタリアPOPS界には、ピンで活躍するよりも、他の歌手に楽曲を提供したり、アーティスティック・プロデュースを手掛ける方が多いカンタウトーレ達が存在しています。その生き様はまさに音楽職人そのものと言えるでしょう。

溢れる才能を持ちながら、やや自戒を込めて自らを『音楽職人』と呼んでいたのは、Mauro Pagani(マウロ・パガーニ)です。イタリアで最初に国際的な成功を収めたRockバンドとなったPFMことPremiata Forneria Marconi(プレミァータ・フォルネリーア・マルコーニ)に1976年まで在籍していたことが特に有名で、当時Mauroのようなヴァイオリン兼フルート奏者がRockバンドの正規メンバーとして活躍していた事自体が稀有な存在でした。また作詞やヴォーカルも積極的に担当していた端正な顔立ちの凄腕ミュージシャン、という印象がとても強かったMauro Paganiです。



PFM脱退後は、民族音楽の要素をふんだんに取り入れ、地中海民族としてのアイデンティティを世に問うた地中海音楽の立役者として活躍。この地中海音楽のジャンルを確立した第一人者と言ってよろしいかと思います。



やがて他の歌手のプロデューサーとして手腕を振るうようになり、Fabrizio De Andrè(ファブリツィオ・デ・アンドレ)、Gianna Nannini(ジァンナ・ナンニーニ)、Ornella Vanoni(オルネッラ・ヴァノーニ)、Roberto Vecchioni(ロベルト・ヴェッキォーニ)、Massimo Ranieri(マッシモ・ラニエリ)、Ligabue(リガブエ)など、錚々たる顔ぶれの大物アーティストたちをサポートし、彼らの新しい面を創出する事に成功しています。

Ligabueのステージを支えるMauro PaganiとCorrado Rustici


また2009年に発生したイタリア中部地震に際し、地震発生から僅か15日後に多くの大物アーティストを一堂に集めて録音されたチャリティCDですが、選ばれた楽曲はMauro Paganiのオリジナル曲"Domani(意:明日)"でした。



※イタリア中部地震復興支援プロジェクトDomani 21.04.2009についての記事
http://piccola-radio-italia.com/archives/51664719.html

※筆者の公式サイトでのMauro Paganiの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Corrado_Rustici

また、上記Ligabueのライヴにも出演していたCorrado Rustici(コッラド・ルスティチ)も音楽職人として著名です。

ナポリのプログレッシヴ・ロックの雄と呼ばれるバンドOsanna(オザンナ)の元ギタリストDanilo Rusticiの弟で、自らもCervello(チェルヴェッロ)というプログレバンドやイギリスに渡って活躍したフュージョンバンドNova(ノーヴァ)などでギタリストとして活躍し、やがてアメリカに渡ってプロデューサー業に興味を見出し、Aretha Franklin(アレサ・フランクリン)、George Michael(ジョージ・マイケル)、Whitney Houston(ホイットニー・ヒューストン)、Herbie Hancock(ハービー・ハンコック) などのスターたちの作品に、音楽プロデュースやギタリストとして参加するようになります。

イタリアのアーティストたちのプロデュースも手掛け始め、Zucchero(ズッケロ)、Elisa(エリーザ)、Claudio Baglioni(クラウディオ・バリォーニ)、Premiata Forneria Marconi(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ)、Negramaro(ネグラマーロ)、Andrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)、Francesco Renga(フランチェスコ・レンガ)、Ligabue(リガブエ)といった、そうそうたる顔ぶれを手掛け、音楽プロデューサーとして大成したと言えるでしょう。

※筆者の公式サイトでのCorrado Rusticiの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Corrado_Rustici

カンタウトーレ畑出身者からでは、カンタウトーレとしてよりも作曲家として大成したMaurizio Fabrizio(マウリツィオ・ファブリツィオ)、Franco Fasano(フランコ・ファザーノ)ら。彼らが書いた楽曲は、提供された歌手の代表曲となるだけでなく、イタリアPOPS史に残るような名曲をいくつも手掛けています。

Mia Martini(ミア・マルティーニ)が歌った永遠の名曲"Almeno tu nell'universo"/Maurizio Fabrizio作


※筆者の公式サイトでのMaurizio Fabrizioの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/archives/52043955.html

Andrea Bocelli(アンドレ・ボチェッリ)にもカヴァーされて、世界中で聴かれる様になった楽曲"Mi manchi"/Franco Fasano作


※筆者の公式サイトでのFranco Fasanoの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/archives/52048567.html

この他にも元Bottega dell'Arte(ボッテガ・デッラルテ)のCalabrese兄弟が今では作曲家・プロデューサーとして大成していますし、元O.R.O.(オーロ)ことOnda Radio Ovest(オンデ・ラディオ・オヴェスト)のメンバーのほとんどが、作曲家として、あるいは一流のセッションマン&ツアーミュージシャンとして人気&実力派アーティストのレコーディングやツアーをしっかり支えています。特にAlfredo Golino(アルフレッド・ゴリーノ/Ds.)とCesare Chiodo(チェーザレ・キォード/Bass)の2人は、プロミュージシャンとして引っ張りだこで、イタリアの売れっ子歌手のCDを5枚ほど手にしたら、彼らの名前が必ずと言っていいほどクレジットされているのを見つけることができるでしょう。

長年に渡ってスター街道を走り続けている歌手が非常に多いイタリアPOPS界ですが、一部の面々はバックヤードに回って、その溢れる才能を他のアーティストを育てるために使っているということを体感できるのも、イタリアPOPSの楽しみ方のひとつです。

Piccola RADIO-ITALIA
YoshioAntonio こと 磐佐良雄

***** 『第91回 イタリアPOPSフェスタ』開催のお知らせ(予定の内容) *****
★Natale Special(クリスマス・スペシャル)
日時:2012年12月15日(土) 17:15~21:30 (16:45開場)
会場:東京・JR亀戸駅 徒歩2分
定員:先着20名様
参加費:1,000円
※お申込み&詳細は以下のサイトまで。
http://piccola-radio-italia.com/


”きいてみ~よ!” 
~ イタリアPOPSのススメ 2012 ~ 第8回
2012-12-07