10.お気に入りの歌 (2) :女性ヴォーカル / ~ イタリア語の歌を聴いてみませんか? ~ 第10回
《L'amante della musica》

以前、コラム第5回で「お気に入りの歌」を紹介したとき、期せずして男声ばかりになってしまった。 あまり深く考えてはいなかったのだけれど、気がついてみるとそうなっていた。 考えてみると、ぼくが聴くのは男声が多いような気がする。意識しているわけじゃないのだけれど。 そんなわけで、今回は女性歌手に限定して、お気に入りの歌をいくつか紹介してみたいと思う。

フランコ・バッティアートについては以前紹介したけれど、そのつながりで聴いてみて、とても気に入ったのがアリーチェ。 1953年生まれの彼女は、当初は本名(カルラ・ビッシ)で活動していたけれど、 その後アリーチェ・ビスコンティ、そしてアリーチェという名に変え、現在もなお一線で活動している。 低目の声がとても魅力的な歌手で、曲の中で低音から高音に切り替わるところは思わずゾクっとしてしまう。 以前は日本盤のCDが何枚か出たことがあったけれど、最近はほとんど出ていないのがちょっと残念だ。 長い経歴の中、いろいろといい曲、いいアルバムがあるのだけれど、 なんといっても1980年代、バッティアートがプロデュースした作品群がとてもいい。 なかでも、ぼくが一番好きなアルバムは『Gioielli Rubati』。アリーチェを最初に聴くのにもいいと思う。 このアルバムに収録された曲のほとんどはバッティアート自身も歌っているので、聴きくらべてみても面白い。 また、バッティアートの曲だけを集めた『Alice canto Battiato』というベストアルバムも出ている。

■Alice - Gioielli Rubati (1985)

『Gioielli Rubati』


■YouTube: Alice - Prospettiva Nevski

次はマティア・バザール。1970年代から活動している歴史あるバンドで、メンバーチェンジを繰り返しながらも、今もなお現役だ。 以前日本でも彼らの曲がテレビのCMに使われたこともあったし、日本盤のレコードやCDが出たこともあった。 もう30年も活動しているわけなので、どの時代も面白いのだけれど、 初代ヴォーカルのアントネッラ・ルッジェーロ時代の曲がぼくにとっては一番のお気に入り(現在のヴォーカルは4代目のロベルタ・ファッカーニ)。 その高く伸びやかな声がとてもいい。彼女は1989年までバンドに在籍し、その後はソロとなった。 彼女は近年もなお、戦前の古いイタリアの曲のカヴァー集『Souvenir d'Italia』(2007年)や、 『Genova, la Superba』(2007年)というジェノヴァ出身のシンガーソングライターの曲集を出し、精力的な活動を行なっている。

■Matia Bazar - 1 (1975)

『Matia Bazar 1』


■YouTube: Matia Bazar - Cavallo Bianco


■Antonella Ruggero - Souvenir d'Italia (2007)

『Souvenir d'Italia』


ぼくは、よくRadio 2というイタリアのラジオ局のネット放送を聴いて(というより、流して)いるのだけれど、 少し前にしょっちゅう耳にしていたのが、ジョルジャのバラード曲「Per fare a meno di te」だった。 今もよく流れている。ピアノに導かれて始まるしっとりとした曲で、この歌が頭の中をぐるぐると回って、 気がつくとふと一緒に口ずさんでいたり。今この曲は大ヒットしている。 1971年生まれのジョルジャは、現在イタリアで大変人気のある歌手の一人である。 ぼくは以前に出たベスト盤くらいしか聴いたことがなかったけれど、久しぶりに聴いてみてとてもよかった。

■YouTube: Giorgia - Per fare a meno di te


■Giorgia - Greatest Hits (2002)

『Greatest Hits』


さらには、つい先日出たばかりのラウラ・パウジーニの新譜『Primavera in anticipo』。 聴いたばかりなのだけれど、彼女のアルバムの中でも、特に気に入ってしまったので挙げておこうと思う。 とてもしっとりとした印象のアルバムで、コーヒーでも飲みながら春を待つ、 まさに今の季節に聴くのにぴったりだと思う。

■YouTube: Laura Pausini - Invece No


■Laura Pausini - Primavera in anticipo (2008)

『Primavera in anticipo』


最後に古めのものを少し。ぼくがイタリア語の歌を聴き始めた当初、ジリオラ・チンクェッティの「夢みる想い」とか、 リッキ・エ・ポーヴァリの「ケ・サラ」とかとても好きだったし、今でも大好きだ。 たぶんぼくが一番最初に聴いた女性ヴォーカルの曲は「ケ・サラ」だと思う。 だから、ぼくにとっては思い入れのある歌だし、歌自体も郷愁を誘うセンチメンタルなものだ。 この歌は日本語の歌詞も何種類か作られており、もはやスタンダード曲になっているので、日本でも多くの人が知っていると思う。 オリジナルはプエルトリコの歌手ホセ・フェリシアーノだけれど、 イタリアのポップスバンド「リッキ・エ・ポーヴェリ」が歌うヴァージョンが今も一番気に入っている。 聴くたびに当時のいろいろなことを思い出させてくれる懐かしい歌だ。 というわけで最後に挙げておこう。はじめて聴いたときは大昔のことで、誰が歌っているのかぼくはあまり気にしていなかったのだけれど、 いつだったかフランスの映画『なまいきシャルロット』が日本で公開された時、 そのエンディングに流れた「Sara' perche' ti amo」という曲が気に入って調べてみたことがあった。 そのときに、これがリッキ・エ・ポーヴェリの歌だと知り、さらには、 かつてぼくの聴いた「ケ・サラ」もこのグループの歌だったのだと気がついた。 当時男女4人組だったバンドも、現在は3人で活動している。 3人で「ケ・サラ」を歌っている姿を見ると、少し寂しく思う。でもやっぱりいい歌だ。

■YouTube: Gigliola Cinquetti - Non ho eta'


■YouTube: Ricchi e Poveri - che sara'


イタリア音楽コラム
~ イタリア語の歌を聴いてみませんか? ~ 第10回
2009-01-16

ページのトップへ戻る