05.タイム・トゥ・セイ・グッバイ / ~ 記憶の中のカンツォーネ ~ 第5回
《L'amante della musica》

イタリア映画はもちろんのこと、イタリアでロケをしている映画も、 それだけの理由でなんとなく観にいってしまいます。 そんなわけで、先日、映画『アマルフィ ~女神の報酬』を観てきました。 日本映画で初のオールイタリアロケということで、はじめはそういう動機で観にいったわけですが、 お話の方も結構楽しめました。 イタリアで起きた日本人の誘拐事件に巻き込まれた外交官の活躍というのは、 なかなか面白い設定だと思います。 舞台もイタリアだけのことはあって、イタリア語もたくさん出てきますし、 主演の織田裕二さんが自然な感じでイタリア語でイタリア人とやりとりをしていまして、 撮影のときかなり苦労されたのではないかと思います。

映画の公式サイトはこちらです。予告編も見ることができます。

『アマルフィ ~女神の報酬』



で、この映画を支える大きな要素の一つが、 サラ・ブライトマンが歌う「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」です。 この曲は『アマルフィ』以前にも何度かテレビCMに使われたことがありますし、 ご存知の方も多いでしょう。 映画を観て、何が一番印象に残ったか聞かれると、ぼくとしてはやはり彼女の歌でしょう。 イタリアの風景もよかったのですが、ストーリーを追うことにカメラが集中していたせいか、 いまひとつ印象には残りませんでした (これは、ただの観光映画にはしないという監督のねらい通りなのでしょう)。 劇中では彼女本人も本人役で出演、コンサート・シーンで歌っています。

■Sarah Brightman "Time To Say Goodbye"

実は、原曲であるアンドレア・ボチェッリの歌うCon Te Partiro'(君と旅立とう)は聴いたことがありましたが、 実はサラ・ブライトマンが歌うこの曲をきちんと聴いたのは初めてでした。 タイトルがCon Te Partiro'からTime To Say Goodbyeに変わったことから、 歌詞も全部英語になっているのかな、 とろくに調べもせずになんとなくそう思っていました。

しかし、実際は、サビの一節が、"time to say goodbye"になっただけで、 それ以外の歌詞はイタリア語のままで変化はないということに、 映画を観てはじめて気づきました。 英訳詞のカヴァーヴァージョンというよりも、 同じ歌だと言ってしまってもいいでしょう。 だったら、なぜタイトルまでなぜ英語にしてしまったのか、と思いましたが、 イタリア語よりも、英語の方がすぐに歌のイメージがつかめるという利点があるのでしょう。 コン・テ・パルティーロ、だったら何のことなのか、 イタリア人にしか分からないでしょうし。

サビの部分の歌詞はこうなっています。

time to say goodbye
paesi che non ho mai
veduto e vissuto con te
adesso si' li' vivro'
con te partiro'
su navi per mari
che io lo so
no no non esistono piu'
con te io li' vivro'

さよならを言うときがきた
見たこともない場所で
あなたと暮らしたこともない場所で
さあ、生きていこう
あなたと旅立とう
船に乗り、いくつも海を越えていこう
わたしにはわかっている
行く手にもう海はないということを
あなたとそこで生きていこう

英語タイトルのイメージから恋人に別れを告げる歌かと思いきや、 別れを告げるのは、今いる場所、今の自分なのですね。 そして、あなたとともに旅立つ、輝く未来へと。 なんだか卒業式や結婚式の歌にも向いているような気がします。 映画『アマルフィ』のエンディングにもこの曲が流れますが、 まさに希望に満ちた未来を暗示するかのようなシーンと相まって、 なかなか晴れ晴れしい気分で映画館を後にすることができました。

イタリア音楽コラム
~ 記憶の中のカンツォーネ ~ 第5回
2009-08-14

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