10.甘い囁き / ~ 記憶の中のカンツォーネ ~ 第10回
《L'amante della musica》

今頃はきっと、クリスマス、大掃除と、あわただしい年末を駆け抜けて、 お正月も迎え終わり、ようやく一息ついていることでしょう。 まだ正月気分が抜け切ってないかもしれません。 これを書いているのは年末ですが、とりあえず、「あけましておめでとうございます」。

どこかのCMで耳にしたことのあるような……というイタリアの歌をこれまでいろいろと紹介してきましたが、 そろそろネタ切れになってまいりました。いやはや、たくさんあるようで、それほどないものですね。 そんなわけで今回は、テレビCMで使われたていたような気がする、 いや確かに聞いたことがある、でも何のCMだったのか結局分からなかった、 そんな未確認の歌のご紹介です。 もはや「記憶の中の~」というより「忘却の中のカンツォーネ」になってしまいましたが……。 とはいえ有名な歌ですので、 「ああ、聞いたことがある」と思われる方もたくさんいるのではいかと思います。

これは1972年に発売された「Parole Parole」という歌です。
タイトルにもなっている「パローレ~パローレ~」というサビの部分があまりにも印象的で、 CMにも使われていたような気がするのですが、 どうにも思い出せません(ご存知の方はぜひご一報ください)。

歌っているのはイタリアの大御所ミーナとアルベルト・ルーポ。 以前、このコラムシリーズの中で「月影のナポリ」を取り上げましたが、 そのオリジナル版を歌っていたのがミーナです。 アルベルト・ルーポは残念ながらすでに亡くなってしまいましたが、 ミーナは今でも現役で活動しています。

この歌にはいくつかのヴァージョンがあって、 もしかするとフランス語版の方がよく知られているかもしれません。 ダリダとアラン・ドロンという、これまた有名な二人が歌っています。 愛の言語と名高い(?)フランス語だけあって、雰囲気がよく出ています。 サビの「パローレ~」の部分だけはイタリア語のままですが。

これをデュエットと言っていいのか分かりません。 男の方が合いの手を入れるかのように、まさしく「言葉」(parole)を囁いているだけで歌っていません。 でも、そのやりとりが面白いです。 普通のデュエットのように、お互いに歌で掛け合いをしながら、 最後にサビを一緒に楽しげに歌う、そんな予定調和に陥ることなく、 男は徹頭徹尾「パローレ」だけ。 男と女のすれ違いが実によく表されているように思います。

歌詞の中にお菓子がいくつか登場しますが(イタリア語版では「もうキャンディーなんて欲しくない」と歌ってます)、 もしかすると何かお菓子のCMだったのかもしれませんね(いや、「欲しくない」んだったら問題ありかも)。 フランス版でも、キャラメル、ボンボン、ショコラ、ですし。 いやはや、実に甘甘です。まさに邦題のとおりに『甘い囁き』です。

サビの部分の歌詞をちょっとだけご紹介。

Parole, parole, parole
[Ascoltami]
parole parole, parole
[Ti prego]
Parole, parole, parole
[Io ti giuro]
Parole, perole, parole, parole, soltanto parole, parole tra noi...

言葉、言葉、いつも言葉。
[僕の話を聞いて]
言葉、言葉、いつも言葉。
[お願いだ]
言葉、言葉、いつも言葉。
[君に誓うよ]
言葉、言葉、いつも私たちの間にあるのは言葉だけ。

男の必死の囁き攻撃もまったく耳を貸してはもらえず、うまくあしらわれているようですね。 いくら言葉を積み重ねても、「いつも言葉だけね」と聞いてもらえません。 なんだかかわいそうになってきます。まさに「甘い囁き」は甘くない!

イタリア音楽コラム
~ 記憶の中のカンツォーネ ~ 第10回
2010-01-15

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