12.彼女 / ~ 記憶の中のカンツォーネ ~ 第12回
《L'amante della musica》

テレビや映画を見ているうちになんとなく耳に入ってきた歌、そんなどこかで聴いたことのある歌を本コラムで取り上げ始めて、 もう一年が経ちました。時の流れとは早いものです。ふと思えば、そんなイタリアの歌が少なくとも12曲はあったわけですね。 イタリアのテレビでどれだけ日本の歌が流れているのかを考えると、この12という数はなかなか多いのかもしれません。

さて、今回とりあげる歌はこちらです。


お分かりのようにシャンプーのCMです。これは1990年頃に放映されていたものだと思われます。 流れている歌の全曲はこちら。


この歌は「Mario」(邦題は「彼女」となっています)で、歌っているのはエイミ・カリーナ(Emi Callina)。 この歌い手さんについてはあまり情報がないのですが、この曲が収録されたCD『彼女Mario』のライナーノートによれば、 彼女は1962年生まれ、このCM以前から音楽活動をしていて、1990年のこのCMのためのオーディションで選ばれて、 日本デビューとなったそうです。

そんなわけで、以前紹介した「愛のブルー・トレイン」と同じように、この歌はイタリア語歌詞でありながらも、 このCMのために作られたもののようです。 CMで使われているのは、お聴きのようにイタリア語版の「Mario」ですが、 CD『彼女Mario』には日本語歌詞版の「彼女」も収録されています。 ちなみに日本語版歌詞を作詞したのは、CMに登場している浅野温子の夫である魚住勉です。

日本語版とイタリア語版の歌詞の内容はかなり異なっていますので、どちらかを翻訳したものではなく、 それぞれ独自に作詞されたもののようです。 日本語版では、男性視点から恋人のことを歌った歌ですが、 イタリア語版の方は、女性視点からマリオという名の恋人のことを歌っています。

CMで使われている部分の歌詞はこんな感じです。

Mario e' italiano
antico amoroso
ed ha un gran cuore di paglia
ma e' un vero Romeo.

マリオはイタリア人
恋心いっぱいの古風なイタリア人
心はすぐに燃え上がる
でも本当のロメオ

Mio caro amore
bello mio amore
io vorrei te solo insieme a me
Mio caro amore
tu la mia canzone
che io cantero' solo per te

愛しい人
私の恋人
そばにいて欲しいのはあなただけ
愛しい人
あなたは私の歌
あなたのためだけに私は歌う

歌詞の「ロメオ」は、イタリア風に言えば「ロメオとジュリエッタ」のロメオのことなのでしょう。 このマリオさん、「考えているのはいつもジュリエッタのことだけ」だそうです。 といっても彼女一筋というわけではなく、実は、彼の周りにはたくさんのジュリエッタがいて、 さらには、「いつも新しいジュリエッタを探している」のだそうです。 ものすごいプレイボーイです。そんなフラフラした男を好きになった女性、大勢のジュリエッタのうちの一人が、 「そばにいて欲しいのはあなただけ」と切なげに歌う、 なんとも悲しい歌なのかもしれませんね。 それにしても、歌詞の内容はシャンプーとあまり関係がないような……


……
そんなわけで、コラム「記憶の中のカンツォーネ」も無事に最終回を迎えることができました。 一年間どうもありがとうございました。また機会がありましたら、どこかでお会いしましょう!

イタリア音楽コラム
~ 記憶の中のカンツォーネ ~ 第12回
2010-03-16

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