07.Casa del Vento, I Ratti Della Sabina / ~ ロック・イタリアーノの軌跡 ~ 第7回
《L'amante della musica》

前回はCombat Folkというサブジャンルを提唱したバンド、Modena City Ramblersをご紹介しましたが、今回はその補足として、Modena City Ramblersの影響を受けた代表的なフォロワーバンドを2組ご紹介したいと思います。

まずはCasa del Ventoです。
「風の家」という名前のこのバンドは1991年に結成され、トスカーナ州アレッツォを中心に活動しています。1999年に最初のアルバム『Senza bandiera』を発表し、以後、ほぼ毎年コンスタントにアルバムを出しています。Modena City Ramblersと同様に、アイリッシュ風味のフォーク音楽を奏でています。もちろんCombat Folkの精神を受け継いだ社会派バンドです。

まずはデビューアルバムから一曲。

■Senza Bandiera


僕はこの閉鎖状況に唾を吐きたい
僕は別の文化と踊るのが好きなんだ
食べ物、気候、文学
旗を持たずにいろいろな土地を見たいんだ……

まさに、これは自文化のみを判断基準にするエスノセントリズムを批判し、多文化への関心を、あからさまなほどに直接的に歌った曲です。「エスノセントリズムは僕を醜く壊してしまった」というフレーズもあり、レトリックも何もあったものではありませんが、実にわかりやすいメッセージになっており、Casa del ventoの基本的な主張がまっすぐに伝わってきます。

また、まさしく「今・ここ」で起きている社会的事件を題材にした歌もあります。
2001年にジェノヴァサミットが開催されましたが、反グローバリゼーションを主張するデモや抗議活動が連日行なわれ、死者が出るという悲劇も生まれました。その死亡した若者Carlo Giulianiへの追悼の歌が「La canzone di Carlo」です。この曲が収録されたミニアルバム『Genova Chiama』はそうしたジェノヴァの状況に関する4曲を収録していますが、タイトルはThe Clashの「London Calling」のパロディになっています(chiama はcallの意味)。

■La canzone di Carlo


最後にしっとりとした愛のバラードを一曲。

■L'amore infinito


ぼくには無限の愛がある
ぼくはその愛を大切に持ち続けるだろう
永遠に……

秋の夜長に聴くにぴったりな一曲です。


次に紹介するバンドは、I Ratti Della Sabinaです。
1996年結成のこのバンドも、もちろんModena City Ramblersから大きな影響を受けています。バンド名は、古代ローマの伝説「サビニの女たちの略奪」に由来します。軽快でノリのいいリズムの曲が多いので、歌詞がわからなくても楽しめますが、歌われている内容はやはりCombat Folkだけのことはあり、社会派のものが多いです。

以下、お勧めの曲を3つほど挙げておきます。

■La morale dei briganti


これは19世紀に実在した山賊の頭領Berardino Violaを歌ったものです。

■Nel giorno della liberazione


この曲「解放の日」は、1944年に中部イタリア、ポッジョ・ミルテート県のサビーナがドイツ軍から解放されたことを歌ったもの。

最後に、心に染み入るような美しく静かな曲をどうぞ。

■Come Fossi Neve


美しい星
まるで雪のようにきらめく星々
ダイヤモンドよりも美しく輝き
風よりも軽く
ぼくの心に浮かぶ星々……

冬の澄み切った夜空に輝く星々を眺めながら聴くとぴったりかもしれません。

2010年に、ヴォーカルのRoberto Billi はソロ活動を行なうためにバンドを離れ、残念ながらI Ratti Della Sabina は解散してしまいました。その後、残りのメンバーがArea765というバンドを結成し、今も同じ路線で活動を続けています。

イタリア音楽コラム
~ ロック・イタリアーノの軌跡 ~ 第7回
2011-10-28

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