~ イタリア語の歌を聴いてみませんか? ~ 11.Marlene Kuntz / ~ ロック・イタリアーノの軌跡 ~ 第11回


11.Marlene Kuntz / ~ ロック・イタリアーノの軌跡 ~ 第11回
《L'amante della musica》

CSIというバンドを覚えているでしょうか? CCCPのGiovanni Lindo Ferrettiの率いるバンドということで本コラムの9回目で取り上げたのですが、そのアンプラグド・ライブアルバム『In Quiete』(1994年)に「Lieve」という曲が収録されています。実はこれ、CSIの曲ではなく、元々はMarlene Kuntzというバンドの曲なのです。

■Lieve


ついでにCSIによるアンプラグド・ヴァージョンの「Lieve」もどうぞ。どちらも異なる味わいがあって、聴き比べてみるとおもしろいです。
■Lieve(CSI)


Marlene Kuntzは、1987年に北西イタリアのピエモンテ州クーネオで結成されたバンドが始まりで、その後1989年に、現在ヴォーカルと作詞を担当しているCristiano Godanoがバンドに加わって、現在にいたるMarlene Kuntzが誕生します。

1992年、「Rock Targato Italia」というロックコンテストに参加したことが転機となり、彼らは1994年に最初のアルバム『Catartica』を発表することになります。先の「Lieve」はこのアルバムに収録されています。このアルバムは、CCCPやCSIのGiovanni Lindo FerrettiやMassimo Zamboniが設立したインディペンデント・レーベルから出されており、彼らがMarlene Kuntzの音楽性を高く評価していたことがよく分かります。CSIがカヴァーしたというのもこうした流れからのものです。

このアルバムから2曲取り上げておきましょう。
■M.K.


言葉の波をおまえに吐き出させくれ
Marleneは最高だ!
90度曲がり、俺は潮流に乗るぜ
俺をインテリゲンチャに入れてくれ
俺を批評しろ
M.K. O.K. M.K. O.K....

アルバム『Catartica』の最初を飾る「M.K.」と題されたこの曲は、まさにタイトル通り、Marlene Kuntzの登場をアピールする荒々しい曲です

ソニック・ユースやアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンに影響を受けた彼らのサウンドは、ノイズ・インダストリアルの要素を取り入れつつも、甘美でけだるい空気を漂わせています。さらには、あいまいながらもどこか暗示的で謎めいた歌詞もバンドの大きな魅力です。

■Nuotando nell'aria


空気の中を泳ぎながら俺が感じるのはおまえの肌
悲痛な、震える、焼け付くような心の中に漂う愛のにおい、
心は問う、何が足りないのかを
なぜ気分が悪いのか、とても悪いのかを
愛しながら、愛しながら、おまえをずっと愛しながら……

「空気の中を泳ぎながら」と題されたこの曲はバンドの代表曲のひとつです。

近年は、初期のアグレッシブさや荒々しさは減ってきていますが、その反面、音楽性が広がり、落ち着いた感じの曲もなかなか魅力的だと思います。

■Bellezza


俺たちは心晴れやかで素朴、それとも陰気で辛らつなのか
俺たちは純粋で無垢、それとも少し罪を背負っているのか
燃える欲望のために
俺たちは美をくまなく探している
そうやって無意味に時間をつぶしているんだ


情報によると、今年のサンレモ音楽祭にはMarlene Kuntzも参加するそうです。まだ映像は未確認ですが、どのような演奏を見せてくれるのかとても楽しみです。

イタリア音楽コラム
~ ロック・イタリアーノの軌跡 ~ 第11回
2012-02-24