レモン… 黒い瞳 サルディーニャ人 純愛? 妄想・・・ 決して終わることのない錯綜する糸が休むことなく編み続けられ、 そして解かれながら、多くの運命、多くのエピソードが絡み合うストーリー。 そんなストーリーが、狡猾さと純真さを兼ね備えた、 生き生きとした登場人物たちにより展開される、愉快なイタリアン・コメディ! 1930年代、ファシズムが勝利を収めた穏やかな時代。 北イタリア、コモ湖畔の町ベッラーノ、カラビニエーレの分署では、ロカテッリ憲兵(ベルガモ人)の眼前で、マンヌ曹長(サルディーニャ人)とミスファッティ兵長(シチリア人)がお互いにライバル心を燃やしていた。 そこへ、「小柄で、ネズミ色のコートを着て、胃の辺りに絶えず両手でハンドバックを抱えた」独身老女が面会したいとやってきた。 彼女は、盗難を届けにきたのだ。 一銭の価値もない品物についての奇妙な捜査が開始されたが、この事件が、失踪した後に再び姿を見せた弟、銀行員、高利貸し、ファシスト政権、美女、司祭、密売人などが錯綜する過去を明るみに出すことになる・・・
【著者プロフィール】 アンドレア・ヴィターリ(Andrea Vitali) 1956年イタリア・コモ湖畔のベッラーノ生まれ(本書の舞台)。 ミラノ国立大学の医学部を卒業後、故郷で医者の仕事に従事する。 1990年に短編『procuratore』でデビューし、『L'ombra di Marinetti』で、 1996年度のピエロ・キアラ文学賞を受賞。 そして2008年には『La Modista(ブティックの女)』でイタリア・ヘミングウェイ賞を受賞。 故郷ベッラーノを舞台とした小説を書き続けており、著作は20冊以上にも及ぶ。 著書に『オリーブも含めて』〔紙の書籍、電子書籍〕『ブティックの女』〔電子書籍、オンデマンド書籍〕(シーライトパブリッシング)がある。 【訳者プロフィール】 久保 耕司(くぼ こうじ) 1967年福岡県生まれ。北海道大学卒。 翻訳家。訳書に、マニャーニ『古代地中海を巡るゲオグラフィア』、ヴィターリ『オリーブも含めて』『ブティックの女』(シーライトパブリッシング)、ザッケローニ『ザッケローニの哲学』(PHP研究所)等がある。