俺たちだけじゃなかった。「年少の奴ら」や「年長の奴ら」といったガキだけではなかった。 「大人たち」もそこにいた。 古くからの憎しみの応酬が…… 大人達の顔に、街なかの見慣れた不穏な印に、市場の露店のシャッターに書かれたスローガンに、そして虚勢を張った威圧的なあの男の態度の中に、みてとれた―お前は覚えているか?―あるとき、俺たちに拳銃を見せつけてきた。理解できないことを話し、人を共産主義者とファシストの2つの種類に分けていた。 サーラ、俺たちにとってあれらの言葉は奇妙で、危険な魅力に満ちていた。口にしただけで俺たちの身に何か途轍とてつもないことが起きるような気がした。話題がそのことにうっかり及んだとき、「年長の奴ら」は目を見開いて、俺たちに口をつぐめと命令した。まるで沈黙だけが、深刻で危険な物事に巻き込まれないようにするための唯一の方法だというように。俺たちは無邪気だったが、俺たちの遊びの世界の先に、薄く巨大な緊張があることを知っていた。 境界線のすぐ先に、その国があった。俺たちはまだそのうねりを理解していなかったが、その存在はとてつもなく巨大で、恐ろしいものたちが棲む場所として、俺たちの空想の世界に常にあった。何年も前から公園の古い餌小屋を寝床にしていた、あの変質者のように。 だが、バルコニーにいる母親が俺たちを夕飯に呼んだ時、不安は全てどこかへ消え去っていった。もう五分だけと、どれだけの抵抗をしたのだろう。最後の喜びを噛みしめたかった。 あの瞬間、俺たちは見つめあっていた―お前と俺、二人で―。俺たちは魅惑的な、思春期の入り口に立つ感情に捉えられていた。俺たちがまだ名前の知らない感情の爆発が予感された。 あの新しい感情を二人で一緒に知ることができたのは、なんて美しいことだったろう。俺たちの12歳が花開いたんだ。サーラ。
il mio 1978 (続く)
訳:亀崎 洋太(かめざき ようた / Yota Kamezaki)