『1978』(短編) ルイジ・リナルディ短編集より_『1978』


『1978』



 サーラ、覚えているか。サンドリーノ、あいつのことを。俺たちの目の前で殺されたんだ。あいつは18歳だった。
 あいつは子供じみた遊びを棄てて、危険すぎる別のものに手を出した。その理由について俺たちは理解することが出来なかった。
 覚えているか、年の始めの頃だった。小さなサッカー場で年長の奴らの試合があった。お前たち「女子」と俺たち年少の奴らが一緒になって階段に座って、ローマとラツィオのいつもの試合を、俺たちは片方のチームに肩入れして応援していた。
 あいつはサッカーの上手い奴だった。プロにだってなれたと思う。新しいパオロ・ロッシにもなれたはずだ。
 でも、あいつは死んだ。家の近くの道で。市街バスが通っていて、タバコの吸い殻だらけで、アスファルトに潰れた瓶の王冠が散らばっていた道で。
 銃声と鋭いタイヤの音の直後、白いアルファロメオが狂ったように逆走して去っていった。
 地面に倒れたあいつの体を見た時、俺たちの目に最初に飛び込んできたのは血だった。赤黒い湖。図工室で美術の時間に女教師が俺たちに使わせていた絵の具のような色をしていた。あいつの目―あの目だ、神よ!―見開いたまま動かず、その視線の先には絶対の神秘があった。あいつはそれを見ていた。

 サンドリーノは死んだ。サーラ、俺たちの前でだ。救急車や警察のサイレンが近づいてくる中、誰かが「赤い旅団の奴らだ!」と叫んでいたのが聞こえた。俺たちがうんざりするほど聞いたあの言葉は、本当は何を意味していたのだろう? 何か恐ろしいものであることは間違いないが、理解可能な中身が欠けていた。ただ俺たちは事件に取り憑かれていた。あの事件を同じように目撃していた仲間たちとそれについて何時間も話した。死の瞬間に何が起きるのかの仮説を言い合った。心臓が止まる直前、命の最後の瞬間にはどれほどの痛みがあるのだろう。ヴェロニカは泣いていた。サンドリーノと恋をしていたのかもしれない。多分キスをしていたのだろう。それに奴と「気持ちの悪いこと」も。それについて俺は―サーラ、お前は違ったのだろうが―曖昧で遠慮がちな想像しかしていなかった。


il mio 1978
(続く)

訳:亀崎 洋太(かめざき ようた / Yota Kamezaki)