『1978』(短編) ルイジ・リナルディ短編集より_『1978』


くれないの行列』


土曜日 午後二時

 昼食のあと、テレビ室の肘掛け椅子にどっさりと座り込み、肝臓を休めるためにシエスタをした。
 シスはリモコンを横取りし、猛烈な勢いで次々とチャンネルを変えていく。
 国営第一チャンネルでは天気予報をやっていた。嵐は島から去ろうとしているところだ。
 国営第二チャンネルでは、まもなく開かれる共産党大会に関する特番が流れている。
 国営第三チャンネルでは、カメのドキュメンタリーをやっている。
 不満の声が上った。
 〝北の腕〟のアイルランド人が抗議する。「シス、なんなんだよ、なん度言えばわかるんだ? RTPにしてくれ。ニュースの後でサッカーをやるんだ」
 シスはそれに従った。結局のところ、彼にとっては、どうでもいいことだったのだ。
 ポルトガルのテレビでは、欧州連合の新しい首相がアルジェを訪問したことを報じていた。その首相というのは、髪を後ろで結わいた享楽主義者の二十三歳で、改革党の青年部に〝育てられた〟というよりは、そこで〝生まれた〟というほど、長くそこにいる人物だった。
 演説のなかで、北アフリカ諸国連合に対して、イスラム系住民が暮らす飛び地の保護に関し、欧州は最大限に関与することを約束した。われわれのものと同じような新たな〈浮遊式の施設〉を地中海に二十基建設し、新たな移民の受け入れを進め、将来的な人材として考えていると話した。
 次にビットコインの話だ。暗号通貨の崩壊は止まらないようだ。その一方、ユーロはドルに対して実質的に二倍の価値をつけていた。今年の終わりまでに、ケベックも公式通貨として採用することになっている。
 最後に国内政策についてだ。連邦憲法裁判所は、性的に成熟し、判断能力を備えた市民同士で、双方の合意があれば、近親相姦は、〝個人の最高権利〟に完全に合致すると判断した。
 したがって、母親は息子と、姉は弟と、何事にも妨げられることなく、結婚することができる。
 それゆえ、究極のタブーは破られたのだ。
 党の若い法学者は、今や欧州では、ひとつの哲学的存在、進化の飛躍、文化的漸近線が実現されつつあると、熱く語っている。新人類の誕生である。
 「この新人類っていったいなんなんだ?」とだれかが言った。
 「あいつらのことじゃないのか?」アイルランド人が答える。「おれたちは旧人類だろ」
 「確かに古いが、それほどでもないぜ」と別のアイルランド人が言った。
 「改革派のブタどもめ! あいつらは世界の破壊者だ!」とだれかが叫ぶ。
 ベンフィカ対スポルティング・リスボンの試合が始まってすぐに、わたしは居眠りをしてしまった。
 「なんだって? ツナミだって?」わたしは不安になって、尋ねた。
 「吊るされたんだよ」シスはあくびをしながら言った。そして、人だかりができている方を指さす。


Rinaldi Cremisi
(続く)

訳:高野 由美(たかの ゆみ / Yumi Takano)