残りの夕べは、大なり小なり、通りいっぺんの会話で過ぎていった。サッカー、歌、テレビ番組について話した。僕の持参したチョコレートを食べた。午前零時頃、ようやくギュンターとマルタが、帰ろうと立ち上がった。ぎくしゃくと、無駄に過ぎ、あまり楽しくなかった夜にがっかりもし、クラウディアにいとまを告げる悲しい気持ちにもなりながら、僕も立ち上がろうとしたけれど、それを彼女が引きとめた。 「イタロ、あなたは、もうちょっと付き合ってくれるわね?」 加担するようにギュンターとマルタが微笑むのを見て、僕の中で歓喜の爆弾が爆裂した。クラウディアの家に彼女と僕だけ! 興奮して頭がぼうっとしてきたのと同時に、起こるかもしれない事への不安にも駆られた僕は、その熱狂をひた隠しにしようと努めた。 「いいよ!」 二人きりになると、僕はすぐに、それが最大のチャンスだと考えた。その夜、クラウディアに僕の恋を打ち明けなければ! その時を逃せば、もう可能性はないに違いなかった。 突破口を開くために、あらゆる話題を振ってみた。 「ちょっとエキセントリックだけど、感じいいよね、きみの友達」 彼女は微笑み、それから言った。「そうね。彼らのご両親、かなりの大物なの。だから、エキセントリックも許されるってわけ」 僕はうなずき、別の会話の糸口を探したが、クラウディアが衝動的に飛びかかってきて、情熱的にキスをし、持ちこたえられない僕をソファーに倒れ込ませた。 僕は官能のなすがままになった。クラウディアは甘美にして恐ろしかった。まるで、やぶれかぶれだった。 (続く)
訳:橋本清美(はしもと きよみ / Kiyomi Hashimoto)