「イタリア国内でラジオを点ければ聴こえてくるが如く日本でもイタリアPOPSを普通に聴けるようにしたい」との想いを込めてイタリアのPOPSを紹介するコーナーです 05.勲章を与えられたアーティストたち / ~ ”きいてみ~よ!” イタリアPOPSのススメ ~ 第5回


05.勲章を与えられたアーティストたち / 
~ ”きいてみ~よ!” イタリアPOPSのススメ ~ 第5回
《Piccola RADIO-ITALIA(ピッコラ・ラディオ=イタリア)》

 今回のコラムでは、イタリアのポピュラー音楽家たちが超一流の文化人としてもきちんと評価されている事をぜひ知っていただきたいと思い、イタリアで勲章を受けたアーティストたちをご紹介します。

 イタリアの勲章制度Ordine al merito della Repubblica Italiana(イタリア共和国功労勲章)は、6階級で構成されていますが、最高位のcavaliere di gran croce decorato di gran cordone(大綬章付き大十字騎士)は実質、大統領経験者に限定されているため、民間人が受勲できる勲章としては、12世紀の十字軍遠征の流れを汲むフランスの勲章制度に準じた以下の5階級となります。

第1位)cavaliere di gran croce(カヴァリェレ・ディ・グラン・クローチェ/大十字騎士)
第2位)grande ufficiale(グラン・ウッフィチァーレ/上級士官)
第3位)commendatore(コッメンダトーレ/司令官)
第4位)ufficiale(ウッフィチァーレ/士官)
第5位)cavaliere(カヴァリェレ/騎士)

 日本では、芸術家や芸能人が受賞してニュースとなる『紫綬褒章(しじゅほうしょう)』がありますが、これら褒章は、一般に勲章より下位に位置付けられる栄典となり、日本ではやっとこの段階で、中島みゆき等のポピュラーアーティストの名前が出て来るに留まります。

 しかしイタリアでは上記の階級の中に、しかも第2~3位の階級を中心に多くのポピュラーアーティストが受勲している事実があります。

 では最下位のcavaliereは割愛して、第4位となるufficiale(士官)受勲者から紹介いたしましょう。

第4位)ufficiale(ウッフィチァーレ/士官)
Roberto Vecchioni(ロベルト・ヴェッキォーニ/現68歳/2004年受勲)
Francesco Guccini(フランチェスコ・グッチーニ/現71歳/2004年受勲)
Francesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴーリ/現60歳/2005年受勲)
Angelo Branduardi(アンジェロ・ブランドゥアルディ/現61歳/2005年受勲)
Roberto VecchioniFiorella Mannoia(フィオレッラ・マンノイア/現57歳/2005年受勲)

第3位)commendatore(コッメンダトーレ/司令官)
Claudio Baglioni(クラウディオ・バリォーニ/現60歳/2003年受勲)
Gianni Morandi(ジァンニ・モランディ/現67歳/2005年受勲)
Peppino Di Capri(ペッピーノ・ディ・カプリ/現72歳/2005年受勲)
Fred Bongusto(フレッド・ボングスト/現76歳/2005年受勲)
Zucchero(ズッケロ/現56歳/2006年受勲)
Eros Ramazzotti(エロス・ラマッヅォッティ/現48歳/2006年受勲)
Laura Pausini(ラウラ・パウズィーニ/現37歳/2006年受勲)
Milva(ミルヴァ/現72歳/ 2007年受勲)
Lina Sastri(リナ・サストリ/現58歳/2011年受勲)

第2位)grande ufficiale(グラン・ウッフィチァーレ/上級士官)
Renzo Arbore(レンツォ・アルボレ/現74歳/1992年受勲)
Ornella Vanoni (オルネッラ・ヴァノーニ/現77歳/1993年受勲)
Bruno Venturini(ブルーノ・ヴェントゥリーニ/現66歳/1995年受勲)
Mina(ミーナ/現71歳/2001年受勲)
Lucio Dalla(ルチォ・ダッラ/現68歳/2003年受勲)
Andrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ/現53歳/2006年受勲)
Nilla Pizzi(ニッラ・ピッツィ/1919-2011/2006年受勲)

第1位)cavaliere di gran croce(カヴァリェレ・ディ・グラン・クローチェ/大十字騎士)
Luciano Pavarotti(ルチァーノ・パヴァロッティ/1935-2007/1988年受勲)

----------------------------------------------------------------------------------------------------------

"Miserere(讃美歌ミゼレーレ)" /Luciano Pavarotti + Zucchero + Andrea Bocelli
Zucchero が盟友Pavarottiとデュエットするために、英のBono(ボノ)と共に書き下ろした楽曲。本録音に先だって、デモテープ制作のためのテノール歌手のオーディションを行った際、Zuccheroの耳にかなったのがAndrea Bocelli。Bocelliが歌ったデモテープを聴いたPavarottiは『私が歌うよりイイ』と大絶賛したという逸話が残っています。その3人による夢の共演がこちら。


"Caruso(カルーソー)" /Luciano Pavarotti + Lucio Dalla
オペラ史上に燦然と輝く名を残すテノール歌手Enrico Caruso(エンリコ・カルーソー/1873-1921)に捧げた楽曲。1986年Lucio Dalla作で、1992年のLuciano Pavarottiにカヴァーされ、世界的に知れ渡る事となりました。


"Tra te e il mare(あなたと海の間に)" 、"Uno su mille(千に一つ)" / Gianni Morandi + Laura Pausini
Gianni Morandiのデビュー45周年企画に、Laura Pausiniがゲスト出演した2009年のひとこま。前者がLauraの持ち歌で、後者がMorandiの持ち歌。


"Mille giorni di te e di me(君と僕の千の日々)" / Claudio Baglioni + Laura Pausini
アフリカ支援の為に立ち上がった世界中のアーティストたちが、2005年7月2日に世界の8都市で同時開催したチャリティコンサート『Live 8(ライヴ・エイト)』のRoma会場で行われたコンサートでのひとこま。Laura PausiniのステージからClaudio Baglioniへのステージへとバトンタッチされる際に、この貴重なデュエットが披露されたものの、Lauraのマイクの調子が悪かったせいもあって、歴史的なライヴ映像は『Live 8』DVD化の際に収録されずに終わってしまった曰く付きの代物。


"Senza paura(恐れないで)" / Ornella Vanoni + Fiorella Mannoia
2008年にOrnella Vanoniがリリースしたデュエットアルバム第1弾の『Piu` di me』に収められていたFiorella Mannoiaとのデュエット曲。ここに引用した映像では、Vanoniが続けて"tristezza vai via(哀しみは過ぎ去る)" と"accendi una luna(月を灯して)"を披露しています。


以上のように、イタリアではポピュラー歌手も文化人として正当に評価され、国家への功労を労い、勲章を持って表彰する事が行われているのです。イタリアを愛する方には、ぜひPOPSも聴いて欲しい、とお勧めする理由はココにもあるのです。

Piccola RADIO-ITALIA
YoshioAntonio こと 磐佐良雄

***** 今回ご紹介した曲の収録アルバム *****
『Pavarotti & Friends』
アルバム:Pavarotti & Friends
アーティスト: Luciano Pavarotti 他

『E ritorno da te』
アルバム:E ritorno da te
アーティスト: Laura Pausini

『Grazie a tutti』
アルバム:Grazie a tutti
アーティスト: Gianni Morandi

『Per il mondo - World tour 2010』
アルバム:Per il mondo - World tour 2010
アーティスト: Claudio Baglioni

『Piu` di me』
アルバム:Piu` di me
アーティスト: Ornella Vanoni

***** 『第76回 イタリアPOPSフェスタ』開催のお知らせ(予定の内容) *****
1. 来日直前!Ludovico Einaudi特集
2. イタリアで最近リリースされた話題作から
3. 白熱のライブ映像

日時:2011年9月10日(土) 17:15~21:30 (16:45開場)
会場:東京・JR亀戸駅 徒歩2分
定員:先着20名様
参加費:無料
※お申込み&詳細は以下のサイトまで。
『ピッコラ・ラディオ=イタリア』
http://piccola-radio-italia.com/

参加者層は、イタリアPOPS初心者からヘビーリスナーまで、大学生から60歳過ぎの方まで、幅広い方々が集まります。初心者やお一人様でのご参加、大歓迎です!


”きいてみ~よ!” 
~ イタリアPOPSのススメ ~ 第5回
2011-08-26