現在の日本で急速に注目を集めつつあるイタリアのベテランアーティスト、Riccardo Coccianteを改めて紹介いたしましょう。イタリア音楽ファンにはリッカルド・コッチャンテの呼び方が一番ピンと来るのですが、現在の日本で注目を集めている彼の名は、フランス語名のRichard Cocciante(リシャール・コッシアンテ)でしょう。 2013年2月27日を皮切りに遂に日本でも上映されることとなったミュージカルスペクタキュラー『ノートルダム・ド・パリ』(http://www.harmonyjapan.com/ndp2013/)の全音楽を作曲しているのが、リシャール・コッシアンテことリッカルド・コッチャンテなのです。(紛らわしいのでこの後は、伊語&仏語共通のCoccianteと表記します) では、2つの呼び名を持つCoccianteは何人?かといえば、父がイタリア人、母がフランス人の混血。生まれは1946年のベトナムはサイゴン(現:ホーチミン)という、クロスオーヴァーな起源をもっていて、現在もなお、イタリアとフランスの二重国籍を持っているそうです。 仏領インドシナと呼ばれ、フランスの支配下にあった現ベトナムで生まれ育ち、アジアの雰囲気の中でフランス語教育で育った後、11歳の時にRomaに渡り、イタリア語で生活を始めたそうです。 やがて1968年(22歳)で歌手としてイタリアでデビュー。(当時の芸名はRiccardo Conte(リッカルド・コンテ) しかし数年の下積みは余儀なくされたようで、ようやく1974年(28歳)に"Bella senz'anima(意:心のない美人)"がヒットし、当時のカンタウトーレ(シンガーソングライター)ブームに乗ります。 そして1976年『Concerto per Margherita(意:マルゲリータのためのコンチェルト)』がアルバムとして大ヒットして、不動の人気と実力を手中に収めます。 そして1980年に"Cervo a primavera(意:春の鹿)"で新境地を開き、一回り大きく成長し、現在は重鎮カンタウトーレのひとりとして考えられる大御所となっています。 1991年にはサンレモ音楽祭に初出場して優勝をさらいます。"Se stiamo insieme(意:もし僕らが一緒に居るならば)" こうしたイタリアでカンタウトーレとして成功を収める過程で並行して前出のフランス名でフランス語盤を出したりしていましたが、1998年に突如として発表されたのが、冒頭のフランス語ミュージカル『ノートルダム・ド・パリ』の全音楽の作曲者としてのリシャール・コッシァンテだったわけです。 ミュージカル『ノートルダム・ド・パリ』はフランスで大当たりし、やがてイタリアではイタリア語版、スペインや中南米ではスペイン語版が演じられ、世界的なヒットミュージカルに育って行く事となります。ミュージカルの本場アメリカでも英語版が公開され、中国や韓国でも公演され、文字通り地球規模の大ヒットとなっていたのですが、ガラパゴスの国・日本では、2013年になってやっと陽の目を見ることになったのです。その作品の誕生から15年もが経過していることとなります。 Coccianteはこの『ノートルダム・ド・パリ』のヒットの後、2002年には『Le petit Prince(星の王子様)』のミュージカルを手掛け、2007年にはいよいよイタリアに本拠地を移し、イタリア語ミュージカル『Giulietta & Romeo(意:ジュリエッタとロメオ)』を手掛けています。 さて1991年のサンレモ音楽祭優勝時に日本盤CDがリリースされたものの、その後放置されたままだった日本では、これほど偉大な音楽家Coccianteのことを一部の熱心なファン以外は知る由もなかったのですが、前出の通り、『ノートルダム・ド・パリ』の日本公演をきっかけに、毎日のように二千人~四千人の人々がCoccianteの音楽を聴いて、感動していることになるのです。 そしてCocciante自身も2013年2月27日の初演の際に来日し、音楽面のチェックのため、リハーサルからゲネプロまで立ち会い、本番中もPA席に座ってプロとしての厳しい表情を見せていましたが、カーテンコールの際は舞台に上がり、何とアカペラで歌も歌ってくれました。しかもイタリア語で! 撮影:POP!ITALIANO冨田和磨 (http://musica.itreni.net/) 日本でも大ヒット上演中のこのミュージカル、この記事が出る頃には残念ながら東京公演は終了していますが、3/24までの大阪公演の後、4/7の名古屋公演まで、まだ日本で見られるチャンスは続きます。 また、招聘元のHarmoney JAPAN (http://www.harmonyjapan.com/ndp2013/interview.html)、 チケット販売のイープラス(http://etheatrix01.eplus2.jp/article/343149923.html)、 雑誌ラティーナ(3/20発売 http://www.latina.co.jp/)、 雑誌MusicaVita Italia(3/27発売 http://piccola-radio-italia.com/archives/52063370.html)でも、Coccianteへのインタビューを敢行しています。(それぞれ異なる切り口、ネタでのインタビューになっています) そして現在、もうひとつの方向からもCoccianteに注目が集まっています。 イタリアで最も世界的に有名な歌手であるAndrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)が2013年1月29日に世界60カ国以上で発売した7年ぶりのPOPSアルバム「passione(意:情熱)」の18曲の中に、何と2曲もCoccianteの曲を採用しているのです。 世界中のラヴソングを集めて、6言語(イタリア語、英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、ナポリ語)で歌い分けているアルバム中で、Coccianteの曲を2曲も選ぶということは、BocelliのCoccianteへの相当なこだわりを感じさせるではありませんか!その2曲とは、"Era già tutto previsto(意:全部既にお見通しだった)"と"A mano a mano(意:少しずつ)"。 Coccianteのライヴ映像で、前出のノートルダム・ド・パリのメインテーマ" Il Tempo delle Cattedrali(大聖堂の時代)"(伊語版)に続いて"Era già tutto previsto(意:全部既にお見通しだった)" "A mano a mano(意:少しずつ)" / Andrea Bocelli なお、このアルバムは2013年3月27日には日本盤(日本盤限定ボーナストラック入り)の発売も決定しましたので、多くの日本人にCoccianteの音楽が届く事になるかと思います。 こうしてようやく日本でも注目を集めるようになったRiccardo Cocciante。唯一の残念なところは、ミュージカルからもAndrea BocelliのCDからも作者本人の声や演奏は聴けないことです。これらの作品に触れて、感動した方、興味を持った方にはぜひCocciante自身のパフォーマンスに触れていただきたいと切に願います。 Piccola RADIO-ITALIA YoshioAntonio こと 磐佐良雄 ***** 今回ご紹介したアルバム ***** アルバム:Notre Dame De Paris [DVD]/イタリア語版 アーティスト:Riccardo Cocciante (リッカルド・コッチャンテ) アルバム:Notre Dame De Paris /フランス語版 アルバム:Notre Dame De Paris /イタリア語版サウンドトラック アルバム:Giulietta & Romeo アルバム:passione (意:情熱) アーティスト:Andrea Bocelli (アンドレア・ボチェッリ) アルバム:情熱のラヴ・ソング(passione/日本盤) アーティスト:Andrea Bocelli (アンドレア・ボチェッリ) ***** 「MusicaVita Italia誌創刊記念~誌面掲載内容を音と映像で紹介します!」***** ★イタリア ブックフェア内のスペシャルイベント(無料/予約不要) ※イタリアブックフェア会期中(3/29-4/10)、イタリア音楽情報誌『MusicaVita Italia』を販売! 日時:2013年3月30日(土) 場所:イタリア文化会館B2F ホワイエ 第1部 14:00-15:30 サンレモ音楽祭2013他 第2部 16:00-17:30 Lucio Battisti特集 http://goo.gl/IJ4Ms ***** 『第95回 イタリアPOPSフェスタ』開催のお知らせ(予定の内容) ***** ★イタリアで最近リリースされた話題作から 日時:2013年4月13日(土) 17:15~21:30 (16:45開場) 会場:東京・JR亀戸駅 徒歩2分 定員:先着20名様 参加費:無料 ※お申込み&詳細は以下のサイトまで。 http://piccola-radio-italia.com/
”きいてみ~よ!” ~ イタリアPOPSのススメ 2012 ~ 第11回 2013-03-22